愛犬のしつけのお悩みで多い「噛み癖」。ワンちゃんの飼い主さんであれば、一度は手や足をガブリと噛みつかれた、ソファや家具を噛んでボロボロにされた…という経験があると思います。「ワンちゃんは噛む動物だから…」と放っておくと、噛み癖がエスカレートして他人や他の動物に危害を加えてしまうこともあります。
まずは原因を知って、噛み癖を直すための対策を始めましょう。

そもそも何で噛むの?
甘噛みのなごり
子犬は歯の生え替わり時期、ムズムズと痒くなることで甘噛みをします。また、興奮してじゃれるように噛むことも甘噛みの一つ。通常は兄弟犬と遊んで甘噛みをするうちに「噛まれると痛い」ことを覚え、噛む力をコントロールしていきます。ところが幼いうちから兄弟と離れるとその経験が足りず、噛む力の強弱を調整できずに噛み癖が残ることがあるのです。
自己防衛のため
「知らない人から突然触られたから噛みついた」「爪切りをしようとしたら噛みついた」など、ワンちゃんは危険や恐怖から身を守るために噛みつくことがあります。もしくは「おやつが喉に詰まりそうだから取り上げた」というように飼い主さんが善意でしたことでも、ワンちゃんは「大事なゴハンを盗まれる!」と思って攻撃の意味で噛みついた、ということもあります。
暇つぶし、ストレス
留守中、愛犬がクッションを噛んで中身を全部出していた、靴を噛んでボロボロにされた…という経験はありませんか?それはワンちゃんがひとりぼっちの留守番を退屈に思い、物を噛むことで気を紛らわせていたのかも。もしくは散歩の時間が足りていないなどストレスを感じることで体力を持てあまし、物や人を噛んでいる可能性もあります。
噛まれた際のNG行為

怒鳴る・叩く
噛まれたからといって怒鳴る、身体を叩くといった行動をとると、ワンちゃんは恐怖を覚えてさらに攻撃をしようと噛みついてくる恐れがあります。肉体的な苦痛を与えるだけでなく、精神的にストレスを感じて、飼い主さんに対する不信感や警戒心を抱くことも。
騒ぐ・逃げる
愛犬に噛まれた時に「痛い!」「やめて!」と声をかけていませんか?この行為は「噛むと構ってもらえる」とワンちゃんが勘違いしやすく、ヒートアップする原因になりかねません。同じく噛まれた時に逃げると「遊んでもらえる」と思って追いかけられてしまいます。
おすすめの噛み癖対策

噛んでも良いものを与える
退屈やストレスが原因で物に噛みつく場合は、“噛んでも良いもの”を与えてパワーを発散させて。ソファやクッションを噛む癖があるワンちゃんには布製のおもちゃを、家具を噛むワンちゃんには木製のおもちゃを…というように、好みのおもちゃを用意しましょう。
無視する
「噛む=構ってもらえる」と理解されないように、噛まれたら無言で手を引っ込める方法も有効。さらにその後、静かに別室に立ち去るとワンちゃんは「噛むと楽しい遊びが終わる」と学習するようになります。じゃれながら噛む癖のあるワンちゃんにはおすすめです。
大きな音が出るものを投げる
「天罰式」と呼ばれるしつけ方法で、空き缶の中にビー玉や小石などを入れて音がでる状態にしておきます。ワンちゃんが飼い主さんや物に噛みついた瞬間に、空き缶をワンちゃんの近くに投げます。この方法では「噛むと嫌なことが起こる」と学習し、噛まなくなる効果が。
まとめ
本気噛みではない“甘噛み”や、退屈しのぎによる噛み癖は紹介した方法を根気よく繰り返すことで改善するはず。ただし、恐怖心や人間への不信感によって噛みつく行為には必ずしも当てはまりません。もしもそういった理由で噛みつかれた際は、「大丈夫だよ、恐くないよ」とやさしく声をかけて安心させてあげることが大切です。ただし他人や他のワンちゃんに対する噛みつきはトラブルに発展することがあるので、深刻な噛み癖のあるワンちゃんはプロのトレーナーに相談しましょう。